「小規模事業者続化補助金」を活用し
販路開拓や業務効率化を進めよう!

本内容は2025年4月「第17回公募」の情報に基づきます。
最新の情報や正確な情報は公式ページでご確認ください。
・小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助するものです。地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
本補助金事業は、小規模事業者等が自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
・補助金額や補助率は?
一般枠と創業枠に加えて特例があります。補助額は50~250万円、補助率は2/3または3/4です。
NO | 主な申請の枠 | 補助上限 | 補助率 | 要件 |
1 | 一般枠 | 50万円 | 2/3 | 小規模事業者 |
2 | インボイス特例 | 100万円 | 2/3 | 免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者 |
3 | 賃金引上げ特例 | 200万円 | 2/3 (赤字事業は3/4) | 補助事業実施期間に事業場内最低賃金を申請時より+50円以上とした小規模事業者 |
4 | 2と3の両方を満たす | 250万円 | 2/3 | 2と3の両要件を満たす |
5 | 創業枠 | 200万円 ※インボイス特例を満たす場合は250万円 | 2/3 | 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援当事者業」が実施にた「特定商業者支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して過去3年の間であること |
・補助金の対象となる飲食店は?
次の1~3をいずれも満たす必要があります。
- 小規模事業者であること(飲食業は常時使用する従業員の数が5人以下)
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が 15億円を超えていないこと
※過去に「小規模事業者持続化補助金」に採択されたことや直近の公募に申請中の場合は対象外になる場合があります。詳細な条件は公募要領をご確認ください。
・飲食店はどのように活用できるのか?
次の8つの経費が対象で、これ以外は対象外になります。また、経費の対象となる例を記載します。
①機械装置等費
- 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
- 衛生向上や省スペース化のためのショーケース
- 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
- 新たなサービス提供のための製造・施策機械など
②広報費
- パンフレット・ポスター・チラシ等の作成
- 看板施設やデジタルサイネージ掲載など
③ウェブサイト関連費
- webサイト作成、SNS広告や運用代行費
- 顧客管理システムの構築
- アプリケーション開発や業務効率化のソフトウェアなど
④展示会出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
- 新商品等を展示会等に出店または商談会に参加するために要する経費
⑤旅費
- 補助事業計画に基づく販路開拓(展示会・商談会等の会場との往復を含む。)等を行うための旅費
⑥新商品開発費
- 新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
⑦借料
- 補助事業遂行に直接必要な機械・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
⑧委託・外注費
- 上記①から⑦に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります。)
- 店舗改装・バリアフリー化工事
- 利用客向けトイレの改装工事
- 製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
- (補助事業計画の「I.補助事業の内容」の「3.業務効率化(生産性向上)の取り組み内容」に記載した場合に限り)従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
- インボイス制度対応のための取引先維持・拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士)への相談費用
対象外
- 国が助成するほかの制度を利用している事業と重複する経費
- 通常の事業活動に係る経費
- 他社のために実施する経費
- 自動車等車両
- 上記のほかに、助成対象経費として認められない経費
・飲食事業者の事例
次の事例は「ミラサポplus」からの引用です。
①寿司屋
(ア)事業内容
- 補助金を活用して店舗周辺の空き地(幅約4m、長さ約12m)に、高級感の溢れるプチ庭園を造り、来店客が食事をしながら視覚でも味でも鮨を堪能していただく庭園づくりをおこない、店内の座敷からも見えるような配置にする。
- 集客力を高めて客数を増やし、こだわりや魅力が伝わる高付加価値メニューの開発などで客単価を上げ、売上と収益性を伸ばす。
(イ)事業効果
- ホームページ開設、メニュー表のリニューアル、パンフレット及び2種類のポイントカードを新たに作成したことにより、広報・宣伝力が強化され、新規顧客の獲得が実現できた。→昨年対比で個室予約15件増加、宴会予約5件増加
- 昼、夜、宴会で新たなメニューを開発したことで、お客様に当店の強味や個性(付加価値)を伝えらえ、客単価と収益性の向上を図ることができた。→新規顧客が1日平均5名増加
(ウ)事業者の声
- 補助金へのチャレンジをきっかけに経営計画や販促促進の重要性を認識することができた。→経営革新計画の承認!
- 商工会、中小企業診断士、デザイナー、カメラマンの連携支援によって、職人技と和の空間を味わう鮨処ブランドの確立に成功。→広報・宣伝力は強化できた!
②カフェ
(ア)事業の内容
- 補助金を活用して、バースディケーキやクリスマスケーキなどにお客様の好きな写真や絵を、可食シートを使って印刷できるフードプリンターを購入。他店との差別化を行うとともに新規顧客の獲得により業績向上を図った。
(イ)事業の効果
- 子供の写真を載せられる点をPRしたところ、クリスマスシーズンにはケーキの注文数が増加するなど売上増のつながった。
- ケーキ以外にも江差町の街並みやご当地キャラクターを印刷したオリジナルクッキーも製造し、土産品として販売、町のPRにも貢献している。
(ウ)事業者の声
- 観光客だけでなく、地元客にも新しい商品を喜んで購入いただいている。
- さらに熟練して新商品の開発に挑戦していきたい。
③洋食店
(ア)事業内容
- 洋食店にふさわしい雰囲気作りのために店舗外観のリニューアル工事を実施した町外および遠方での認知度向上を目的としてHPを作成した。
(イ)事業の効果
- HPには問合せの多かったメニューや所在地の地図、今回リニューアルした店舗の写真も掲載し、全体のデザインも店舗外装と同系色で纏めることで、従来の商圏外へも店のイメージをアピールすることができるようになった。
- 実際に初来店客から「外観や店内の様子、場所がわかりやすかった」「綺麗な外観で料理も美味しく満足できた」等の声をいただけた。
- 町外からの来店が3割ほど増え、前年同時期の平均売上より約13,000円増となった
(ウ)事業者の声
- 今回初めて補助事業を活用してHP作成と外観のリニューアルを行い、認知度の向上や来店数の増加に繋がり、新規顧客獲得と売上の増加に繋げることができました。
・採択率はどれくらいか?

2024年8月8日に発表された第16回公募の採択率は37.2%でした。
概ね60%前後の採択率でしたが、直近の採択率は低下傾向です。
第15回公募から、電子申請システムで「経営計画書」と「補助事業計画書」を入力する方式に変更されたことに加え、第16回公募のスケジュールが短期間だったことも、採択率の低下に影響を与えたと考えられます。
公募要領に審査項目が掲載されています。
採択される可能性を高めるには審査項目について抜けもれなく記載すること、及び加点項目の対応をしておく必要が求められます。
・申請手順とスケジュール
申請書や事業計画書、決算書等を準備します。
また、地域の商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画」も必要です。
書類準備に時間を要する場合もありますので、余裕をもって準備しましょう。
スケジュールは公式HPでご確認ください。
https://r6.jizokukahojokin.info/
まとめ
補助金の概要は上記の通りまとめましたが、正確な情報は補助金事務局のホームページで最新の情報を確認することをお勧めします。
小規模事業者持続化補助金は、飲食事業の店舗改装、WEBやSNSの販促、新商品開発に必要な機械装置等幅広く補助対象になります。これを上手に活用し、販路開拓に繋げていきましょう。
埼玉県南部エリアで「小規模事業者持続化補助金」に興味がある飲食店様は、株式会社アライにお問い合わせください。
監修 中小企業診断士 荒井翔太